今回は、自費診療業界における戦略理論、特にファイブフォース戦略に焦点を当ててご紹介いたします。まずは、以下の内容をご覧ください。こちらはある医院長が抱える悩みです。
そろそろうちも中期経営計画のようなものを作る必要があるかもしれないな。
でもそもそも何から始めればいいんだろう。
戦略って言われても小難しくてよく分からないし。
3CとかSWOTってよく聞くけど一体何?
それを理解したところで売上が伸びるのかな?
一体戦略って何だ?
このように、戦略やスポット分析やファイルフォース分析など、さまざまな戦略理論を聞く機会があるものの、その考え方が分からないといったケースは多いのではないでしょうか。今回はそうした医院長の方々に向けて、特にファイブフォース戦略に焦点を当て、その考え方に触れていきます。
では本日の目次をお示しいたします。
ファイブフォース戦略とは
まず、ファイブフォース戦略とは何かについて説明していきます。下の図をご覧ください。ファイブフォース戦略は、外部環境の脅威を押さえ、その逆算からビジネスモデルを構築する考え方です。
このファイブフォース戦略においては、下の図のように三つの基準を押さえることが重要です。
まずは分析を行い、次に戦略の方向性を定め、最後にビジネスモデルを再設計します。ますは、分析の段階について焦点を当ててみましょう。
下の図をご覧ください。将来の経営は外部環境の観点でさまざまなリスクに直面しています。
美容業界で言えばセルフケアなどの代替品により収益を大幅に損なうリスクがありますし、これに加えて、業界内競合・新規参入・売り手・買い手などのリスクも負っています。その中で、下の図をご覧ください。
それぞれの五つの脅威において、どの程度脅威となっているかを見極め、強弱をつけるということが、ファイブフォース戦略分析の本質になります。売り手や新規や代替に関しては脅威は弱く、買い手が相対的に高い脅威としていることがわかります。
こうした分析を通じて、現状の課題に対して優先順位をつけ、対策を講じることがファイブフォース戦略の要点です。ですが、対策はこれだけで良いのでしょうか。企業の経営は今リアルタイムだけでなく、将来にわたって行われます。したがって、下の図に示されているように、今後の自費診察業界の環境変化についても注意深く見ることが重要です。この変化については、四つの要素から見ることが重要です。
一つ目は政治であり、これは市場ルールの変更に伴うリスクを指します。二つ目は、経済で価値連鎖に影響を与える要素です。三つ目が社会で、こちらは需要構造に影響します。四つ目は、技術であり、競争ステージの変化がもたらすリスクを内含しています。これらの要素を頭文字をとってPESTと言います。まさにファイブフォースと言われる五つの脅威に対してPESTの観点で、未来の脅威を考えることが重要です。例えば、次の図をご覧ください。
下の図は、現在は脅威ではない売り手業界においても、将来的には脅威が増してくる可能性について表しています。このように、未来の脅威について抑えることが非常に重要になります。次に、戦略の方向性を決定することが求められます。下の図をご覧ください。
現在の脅威と未来の脅威をまとめたものです。現在は脅威でない売り手業界の脅威が強くなるということが明らかです。そのため、下の図に示されているように、未来において新たな脅威として、売り手に関しては資材の原価上昇への対応として、資材加工の内製化を検討する必要が出てくるでしょう。
また、業界内競合に関しては、オンライン診療を強化することで差別化を図ることが重要です。さらに、代替品については、施術の品質訴求力を強化させることもできます。これらの取り組みを通じて未来から逆算した戦略の構築を図っていきましょう。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
ファイブフォース戦略とは、外部環境の脅威を押さえた上でビジネスモデルを構築することである
ファイブフォース実施は、分析・戦略の方向性決定、ビジネスモデル再設計の流れで行う
PEST(市場・経済・社会・競争)の観点から、未来の脅威を予測し対策することが重要である
以上、今回は自費診療業界における戦略理論の中でもファイブフォースに焦点を当てて触れてみた内容です。
今後、自費診療業界の競争は一層激化すると考えられますので、今のうちに未来の脅威にむけて戦略の切り替えを行うことが重要です。