今回は、自費診療業界における新卒採用の考え方について見ていきます。まず下の図をご覧ください。
では本日の目次をお示しいたします。
採用コストについて
下の図は、自費診療業界における企業戦略を示したものです。採用は、企業戦略の中でも組織における戦略の一つです。まず押さえなければならない点として、次のようなコストの考え方があります。
①業績直結コスト
受付やスタッフなどの場合でも、基本的に売り上げが減少するというコストです。
②追加採用コスト
欠員補充のために新たに採用する場合に、お金や時間が発生するというコストです。
③新旧教育コスト
そのメンバーにかけてきた教育コストが無駄になり、新たな教育のために必要となるコストです。
④組織風土コスト
退職によって残されたメンバーの負担が増加し、風土に影響を与えるというコストです。
このように、見えないコストが発生するというのが採用の領域になりますので、正しい進め方で展開していくことが重要です。
新卒採用の流れ
下の図をご覧ください。この図は、新卒採用と中途採用の手法をWebとリアルで分類し、まとめたものです。
新卒採用においては、SNS活用やダイレクトリクルーティングサービス・採用ホームページ・医院ブランディングなどの手法があります。その中でも、ダイレクトリクルーティングサービスを中心とした外部ルートには、下の図のようなパターンがあります。このような外部ルートを活用しながら、適切に採用していくことが重要です。
また同時に、それぞれの外部ルートにおいてさまざまな企業がありますので、各社の特徴を踏まえて有効に活用していきましょう。
では、実際に新卒採用をする際には、どのような流れになるのでしょうか。下の図をご覧ください。この図は新卒採用の流れを記載したものですが、一つ目のステップとして、ターゲットを決定することが重要になります。
ターゲットについては、医院の風土や職種によっても変わりますが、思考力・機転の速さ・行動力・対人感受性など、何を優先に求めるのかについてさまざまな考え方があります。
このような場合には、ターゲットのイメージがつかないケースも多いのではないでしょうか。その際には、下の図にあるように、採用したいAさんを思い浮かべながら検討を行うことが大切です。
また、複数のスタッフの長所を切り取ってペルソナを明確にすることも重要となってきます。さらに、スキルだけではなく、マインドと呼ばれる考え方や倫理感なども踏まえて検討を行っていきましょう。
二つ目のステップは、USPの決定です。USPとは、ターゲットに対して自医院がどのような価値提供ができるのかについて明確にすることです。下の図は、USPを説明したものになります。
こちらに記載している通り、まずは自医院の優位性と、求職者が求めているもの、採用競合が取り組んでいることについて分析します。その上で、得意分野の中で求職者のニーズを満たし、採用競合が参入できない領域を明確にすることが重要です。さらに、採用競合については下の図のようになります。
自医院の業務内容・風土・教育体制・福利厚生・事業戦略などの強みを洗い出して競合と比較し、どの点がより優れているのかを明確にしましょう。また、求職者からの観点も忘れてはなりません。
学生が行きたくない医院は、ノルマがきつそう・休日や休暇が取れないなどの要素が大きいのです。ですから、学生の就職観に合わせて訴求をすることが重要です。
三つ目のステップは、母集団の形成です。母集団については、下の図のようにさまざまな形成パターンがあります。
まず、学生にリーチする視点においては、大学の説明会・自社の採用ホームページ・ポータルサイト・SNS・教授紹介・就職課など様々な媒体があります。そこから単独説明会や合同説明会インターンなどに誘致するという構造になります。
採用ホームページの有用性はアンケートデータなどでも実証されているので、少し見ておきたいと思います。下の図をご覧ください。実際に、新卒採用活動における強化項目として採用サイトを挙げている企業が多いことがわかります。
併せて下の図もご覧いただくと、学生側も採用サイトを就職活動の参考項目として挙げているケースが多いのです。
最後のステップは選考です。選考は、文字通り面接を行うことを指します。この選考については、下の図の流れを踏まえて行いましょう。
まずはイメージングとして、学生の理想のキャリアを共に具現化します。次に、コーチングで理想のキャリアに向けて求職者の課題に向き合いましょう。最後に、フレーミングにて課題解決に向けた軸を伝える流れになります。フレーミングについては、先述した自医院の強みであるUSPを活用し、解決策を提示することを指します。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
採用には、見えない4つのコストが発生する
求職者を集めるルートについては、それぞれの特性を理解し有効活用する
採用ターゲットは、会社の風土や職種に合わせて絞る
採用の際には、自医院のUSPに沿って、ターゲットに対する価値提供を明確にする
求職者に対しては、キャリアに向けての課題に向き合い解決策を提示する
以上、今回は、自費診療業界の新卒採用を行うポイントについて見てまいりました。
今後自費診療業界は人材が減少していくと言われていますがそうなれば採用がより一層難しくなりますので、今のうちに対策を行っていきましょう。