今回は、自費診療業界における中途採用の考え方について見ていきます。
まず下の図をご覧ください。この図は、自費診療業界における企業戦略を示したものです。このうち採用は、集患を行う事業戦略ではなく、それらを支えるための組織戦略の一つとして位置づけられています。
採用については、見えないコストが発生することを押さえましょう。次のように、大きく分けて四つのコストがあります。
こちらの採用については、見えないコストが発生することを押さえましょう。下の図のように大きく四つのコストがあります。
①業績直結コスト
受付やスタッフの場合でも、基本的には売り上げの減少に陥ってしまいますので、業績に直結するコストがあると言えます。
②追加採用コスト
欠員補充のために新たに採用コストと管理時間が発生します。
③新旧教育
医院のメンバーにかけてきた教育コストが無駄になり、新たな教育コストが別途必要になるとの考え方です。
④組織風土コスト
退職によって残されたメンバーの負担が増加し、風土にも悪影響を与えます。
このように、採用においては退職者が1人出るとさまざまな見えないコストが発生しますので、慎重に取り組みを行うことが重要です。
下の図は、新卒採用と中途採用それぞれにおける施策を、Webとリアルの媒体で分類したものです。中途採用については、外部のサービスサイトを活用すること以外にもさまざまな施策があるので、全方位的に取り組んでいきましょう。
外部の紹介サイトは下の図にあるように、人材紹介・サイト媒体・情報誌・転職イベント・サーチ型紹介会社・ハローワークなど、様々な分類になります。
また、下の図にあるように、それぞれの外部ルートにおいてさまざまな企業がありますので、各社の特徴を踏まえ、自医院に合ったサービスを選択することが重要です。
今回は、外部サイトとリファラルという二つの採用手法について詳しく見ていきます。
では本日の目次をお示しいたします。
Indeedの魅力と活用事例
まず、一つ目の外部サイトの一例であるIndeedについてです。Indeedというのは、下の図にあるように、採用版のグーグル検索のようなものです。
例えば、「インプラント」で検索すると、インプラントに関する採用情報が表示されます。そこに応募することで、採用のマッチングが行われることになります。このビジネスモデルは非常に画期的であると言えます。下の図にあるように、従来の人材紹介の場合、人材紹介会社側にとっては年収の35%が取り分となっていました。
ですから、年収が高い企業にばかり優秀な人材が集まる構造になっていたのです。また、求人広告媒体については、媒体の費用をかけるほど広告が目立ちますので、お金をかける企業にばかり良い人材が集まってしまっていました。一方でIndeedについては、そのような人材紹介会社や求人広告媒体会社が仲介しないため、直接的な取引が可能になります。下の図にあるように、企業と求職者がダイレクトにやり取りを行えるといったメリットがあるのです。
まとめると下の図のようになります。
Indeedは、求人サイトや人材紹介と比較して、予算設定が自由であることや、高い報酬が必要ないなどのメリットがあります。
その上で、前述したように、グーグルの検索エンジンと似ている性質を持つため、下の図にあるような指標の管理が非常に重要です。それは、表示回数とクリック率と応募率です。
表示回数は、Indeed側に自医院の広告がどれぐらい表示されたかを示した数字です。クリック率は、その表示された医院の募集要項がどのくらいクリックされたかを示した数字です。そして応募率は、そこからの申し込み反響を表しており、この三つの指標を押さえることが、求人への応募者数を増やす上で非常に重要なのです。
このような取り組みをIndeedを経由して行うことで、愛知県のある医院では、15万円で優秀なスタッフを採用することができました。
このようなindeedを活用した取り組みは、今後非常に重要になっていくでしょう。
リファラル採用とは
次に、リファラル採用です。リファラル採用とは、医院のスタッフが知り合いなどに自医院を紹介したり推薦したりすることです。このような取り組みを行うことで、採用コストをかけずに優秀な人材を確保することができます。
下の図は、リファラル採用における考え方を示したものです。
リファラルによる中途採用を実施したことがある医院は62%であり、実施理由には、定着・活躍のしやすさ、採用コストの低減、採用成功率の高さが挙げられました。また、リファラル採用での入社決定時に紹介したスタッフへインセンティブを支給している医院は44%で、支給額の最多回答は3万円〜10万円になっています。
さらに、リファラル採用実施医院のうち、制度化しているのは33%で、制度の運用がうまくいっている医院は40%とでした。リファラル採用のメリットには、採用コストの削減・ミスマッチのない採用が挙げられ、反対にデメリットには、不採用による紹介者同士の関係性悪化が挙げられました。リファラル採用を実施済みの医院の35%は、デメリットは特にないと回答しています。
リファラル採用の推進意向については、実施済み医院の9割が今後も取り組みたいとし、未実施医院の3割が導入を検討したいと回答しています。このように、多くのクリニックが関心を示しているリファラル採用を行うことが重要になります。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
既存の採用サービスには、年収の高さや知名度が優先されるなど不公平な要素が強い
Indeedでは、紹介会社や採用媒体を経由せずに求職者とのやり取りができる為公平性が高い
Indeedは、自医院の表示回数・クリック率・応募率の観点で改善を行うことが重要である
リファラル採用は、社員からの紹介による低コストな採用方法で効果的な施策である
以上、今回は、自費診療業界における中途採用のノウハウについて見てきました。
このような取り組みは今後さらに重要になりますので、引き続きしっかりと対策を行っていきましょう。