
4P戦略ついて
今回は、「適切なマーケティング伴走者を選ぶべし」という考えを示したい。具体的な考察に入る前に、伴走者の定義について定めたい。伴走者とは、経営戦略におけるサポートをする外部企業を指し、一般的にはコンサルティング活動を行う企業などが当てはまる。
私はこの業界に数十年身を置いているが、この業界の特殊性の一つにコンサルティング会社が多いことがあると考えている。なぜか。この背景には二つの要因がある。

一つは、フランチャイズビジネスを通じたコンサルティング概念の浸透である。医療業界では、1990年代以降、調剤薬局チェーンや介護施設、クリニック開業支援などを中心に、フランチャイズモデルが徐々に広がっていった。フランチャイズ本部から派遣されるスーパーバイザー(SV)や経営支援担当者が、医療機関や施設運営者とともに経営課題に取り組む中で、第三者が経営に関与することへの抵抗感が薄れていった。このような背景から、医療業界では他業界に比べて外部コンサルタントを受け入れやすい土壌が育まれている。
二つ目は、投資回収が比較的明確であるという点である。医療業界では、自由診療分野や施設運営などにおいて1件あたりの単価が高く、診療報酬制度の下でも一定の収益が確保されやすい構造となっている。特に、診療効率の向上や集患施策の改善といった経営支援に対しては、成果が数字で見えやすく、コンサルティング投資の回収もしやすい。コンサルティング会社が掲げる「数名の新患で費用対効果が取れる」といった訴求が受け入れられるのも、そうした構造的背景があるからである。
そのような背景の中で、さまざまなコンサルティング活動のケースが存在する。ここからは、コンサルティング活動のパターンを六つに分類して解説していきたい。なお、論点軸としては、あくまで売り上げを上げる事業戦略領域であることをご了承いただきたい。
医療業界のコンサルティングケース
では、六つのコンサルティングのケースについて順に説明していこう。

ケースの一つ目としては、FC本部型である。FC本部型はFC本部のスーパーバイザーであるため、施策がFC商品起点となっており、汎用性が低い。二つ目はスピンアウト型である。スピンアウト型は、成功した医院がスピンアウト(独立)しているため、成功事例が限られたケースのみで、成果の再現性が皆無である。
三つ目は事例・視察型である。事例・視察型は、他の医院の事例を横流しすることがメインで、施策はそれらの成功事例に沿った内容のみである。そして、四つ目は販促型である。販促型は、WEB制作会社や広告運用会社などが背伸びをしてプロモーションのみを行うため、施策がWEB強化などの枝葉でしかない。さらに五つ目は代行型である。代行型は営業代行やインスタグラム代行などを指すが、代行であるため施策などはなく、ノウハウが積み上がらず自医院の資産にならない。
最後の六つ目は個社適応型である。個社適応型は、個別の医院に合わせた施策を立案する。当然ながら、この個社適応型が最も良いコンサルティング、つまり伴走者であり、②のスピンアウト型が自社のみの成功事例で展開するため、期待値ギャップが生まれる点で最も高リスクであろう。これらのケースを俯瞰的に見た際に、代行型についてはコンサルティング業界でも新しい波である。次の図をご覧いただきたい。この図は日本のコンサルティング業界の変遷をまとめたものである。

日本のコンサルティング業界は1960年から市場を確立したのだが、当時はマネジメントの時代であった。高度成長期は物が売れるため、集客営業などの改善は必要なく、マネジメントが中心だった。一倉定氏を中心にマネジメント型のコンサルが浸透し、ノウハウや事例提供はなく、苛烈なまでに経営者を叱り飛ばすことに特化した。現代では武蔵野の小山氏などがそのスタイルを引き継いでいる。
そして、1980年代からはマーケティングの時代となった。物が売れない時代に入ったことで、売り上げを上げるためのコンサルティングが浸透し、船井総研が事例販売型のビジネスモデルを確立しスケールしたことから、マーケティング型のコンサルティングが台頭した。
そして、2000年からはノウハウの時代に突入し、経営に人・物・金だけでなく、情報が加えられた時代となる。情報の有無が経営を左右する時代となった結果、前述のようなさまざまなコンサルティングが誕生した。
そして、2020年からはドゥハウ(Do How)の時代となった。情報化社会により、ノウハウの価値提供では情報格差が取れなくなり、何を知っているのか(ノウハウ)ではなく、どのように行うか(Do How)をサポートする代行型コンサルティングが浸透したのである。しかしながら、インスタグラム代行や営業代行などを行う代行型コンサルは、自社にノウハウ資産が残らないため、非常に「リスクの高い伴走者」である。
このように、コンサルティング業界は20年に一度、領域が拡張されているのである。こうした背景を経て、現在はさまざまなコンサルティング、すなわち伴走者が医療業界には存在するが、いずれにせよ、自医院に適応した施策を立案する伴走者を選ぶべきである。
最後に
以上、今回は、医療業界の重要テーマとして「適切なマーケティング伴走者を選ぶべし」について見てきた。
医療業界においては、多くのコンサルティングプレーヤーが存在する。このような状況下では、時代に特化した人材を育てるべく適切な伴走者を見分け、マーケティング領域と集客について、今一度正しい戦略を立てていくことが重要だ。一人でも多くの建築業界従事者の方々にとって、ノウフルが貴重な情報源になればそれ以上のことはない。
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