今回からノウフルにてコラムを連載させていただきます、三浦あかねと申します。どうぞよろしくお願いいたします。本コラムでは、スタッフ教育を中心に、歯科医院経営に役立つさまざまなノウハウをお伝えしていきたいと思います。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

スタッフ起点で実現する自費強化と離職率改善

 

歯科業界において、スタッフ教育やスタッフマネジメントは必要不可欠なテーマであり、今後売り上げを伸ばしていく上で非常に重要な要素です。そこで、本コラムのタイトルも「歯科医院経営の攻めと守り」とし、サブタイトルに「〜スタッフ起点で実現する「自費強化」と「離職率改善」〜」を掲げています。

 

まず第1回目の今回は、歯科医院経営においてスタッフ教育がなぜ重要なのか、その理由について考えていきます。

 

歯科業界におけるスタッフ教育の重要性

 

一部の先生方の中には「スタッフは診療のサポートをしてくれればよい。経営は幹部が行うものだ」とお考えの方もいるかもしれません。しかし私が提案する「スタッフ起点の攻めと守り」がなぜ必要なのか、その背景を説明していきます。

 

下の図をご覧ください。こちらは診療所数の年次推移ですが、歯科業界の競争環境は年々激化しており、保険診療だけでは経営が難しくなっています。さらに外部環境においては、患者意識の変化、疾患の多様化、そして量から質重視へのシフトといった流れの中で、より高いレベルの医療サービスが求められています。

 

 

このような状況の中では、保険診療そのものに限界があり、提供できるサービス内容や収入面にも壁が生じます。そのため、今後の歯科医院経営においては、自費診療の重要性がますます高まっていくのです。

 

では、スタッフへの十分な説明もなく自費診療を増やそうとしたらどうなるでしょうか。本来、医療事務スタッフは営業職ではなく、お金に関する教育を受けていないため、金銭面に対するマインドブロックを抱えているケースが少なくありません。これが負の連鎖を引き起こすリスクとなるのです。

 

 

例えば、自費診療への抵抗感がスタッフのモチベーション低下につながり、ES(従業員満足度)が下がる。その結果、離職が増え、CS(顧客満足度)も低下し、売り上げ減少へとつながっていきます。

 

お金に関する教育を受けていないスタッフは、保険外診療を患者様に提案する際、費用を負担させることに罪悪感を覚えてしまうことがあります。その価値観は患者様にも伝わり、売り上げ増にはつながりません。

 

結果として、自費診療の売り上げが伸びない、患者満足度の低下、押し売り感の発生、スタッフ満足度の低下、「営業をするために入職したのではない」という不満が積み重なり、医院経営を圧迫していきます。このような悪循環を断ち切るためには、スタッフのクロージング力を高めることが最も効果的です。

 

そのために、いくつか確認すべき重要な視点があります。

 

自院の経営理念がしっかりしているか

医院の理念がスタッフに浸透しているか

教育担当者はいるか

医院の理念に基づく自費診療メニューであるか

自費診療メニューに一貫性はあるか

 

これらの視点を押さえることで、スタッフの行動と医院の方向性を一致させ、自費診療の拡大につながる基盤を築くことができます。 要するに、自費診療を拡大していくためには、スタッフ教育ができているかどうかが極めて重要になるのです。

 

次回以降は、離職率改善と自費診療比率拡大という観点から、具体的なスタッフ教育の取り組みについて解説していきたいと思います。

 

講師自己紹介 三浦あかね

【略歴】
看護師として公立病院にて脳外科、内科慢性期病棟勤務。接遇委員会立ち上げや接遇委員長を経て、下肢静脈瘤専門病院に師長として勤務。市民講座時には院長と共に講演。その後、健診センター立ち上げ責任者として勤務。
さらに、医療機関を遠隔でサポートする企業の看護部長として、医師の業務負担軽減のために、さまざまなサポートを提供。他、医療従事者向け研修の講師として活動しつつ、現在は、フリーランスで講師業と医院のコンサルティングサポートを行っている。

【資格】
看護師/アンガーマネジメントファシリテーター/医療経営士3級/エグゼクティブコーチ/医療メディエーター/日本マナープロトコール検定2級/医療接遇検定3級 /DSコーディネーター

 

引用

 

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