今回の医療業界バンバン集客塾では、引き続き、商品戦略について見ていきたい。

 

なお、前提として、商品戦略が集客と何の関わりがあるのかとの疑問を感じる方が多いかもしれないが、むしろ商品こそが集客と一番密接に関わっているのである。商品が良ければ当然に集客は増えるわけで、プレイス戦略と言われる患者の呼び込みも不要であるし、安売りした割引広告などを出稿する必要もない。

 

それほど商品戦略は患者と密接に関わっているのである。ノウフルでは、最も重要なフレームワークとしてマーケティング4Pを提唱しているが、このうちのプロダクト戦略が今回のテーマとなる。

 

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

医療業界の商品価値

 

下の図をご覧いただきたい。医療業界の商品価値とは、分分母に価格があり、分子にハードとソフトとブランドがある。前号ではソフトが重要であると述べたが、当然ながらハードも重要である。医療業界におけるハードとは、医療設備や技術、物理的環境のことを指している。

 

 

では、このハードとソフトについて改めて説明をしていく。下の図をご覧いただきたい。この図は、スターバックスの商品戦略を示したものである。

 

 

提供価値としては、物質的なものと精神的なものがある。物質的なものは、スターバックスで言えばコーヒーなどを指す。これは目に見える「ハード」である一方、精神的なものは「ソフト」と定義され、スターバックスで言えば空間提供を意味している。

 

具体的な例として、スターバックスの商品コンセプトの一つにサードプレイスがある。サードプレイスとは、「自宅・会社に次ぐ三つ目のリラックスする空間を提供する」という考え方であり、これはまさに、目に見えないソフト面での商品戦略なのである。同じようなことが、ドン・キホーテでも言える。

 

 

ドン・キホーテは格安を売りにしたディスカウントストアであるが、商品の販売、すなわちハードの商取引とは別に、ソフト戦略を重視している。ドン・キホーテでは、宝探しというコンセプトを重視しており、何かを買いに行ったつもりが、目的のもの以外のものも買ってしまうという収益効果を目指した戦略をとっている。これもまさにソフト面での商品戦略の成功例と言える。

 

このような、ソフトの付加価値を醸成するという観点においては、あの有名なスティーブ・ジョブズが非常に得意とする戦略であった。

 

 

スティーブ・ジョブズは、いわゆるコモディティと言われる産業に乗り込み、デザインを含めた体験(ユーザーエクスペリエンス)の価値をソフト面でつけることで、ヒット商品を生み出した。言うなれば、ヒット商品の仕掛け人であろう。

 

このように、現代社会において、商品のハード面で差別化できない中、ソフト面での商品戦略に力を注ぐことは非常に重要になるのである。

 

医療業界のニーズの変化

 

改めて住宅業界に目を向けてみると、ハードとは建物と土地を指す。

 

 

具体的には、医療処置の正確性や治療技術はもちろんのこと、医療機器の質の高さや内装の清潔感、ベットや個室などの治療にかかる設備についてを指している。その他、予約システムや電子カルテなど、近年のデジタル化に適応した技術もハードに含むものである。

 

 

一方で、医療業界のソフト戦略については下の図のようなものがある。診察時の共感や安心感、待合室の快適さや看護師の対応についてなど、目に見えない付加価値のことを指している。よく、クリニックのレビューに「あの病院は丁寧に説明してくれる」などのコメントが見られるが、これらはソフトの強みについて触れている内容である。

 

 

このように、ハード面だけでなく、ソフト面での商品戦略も重要になってきている昨今であるが、なぜこのような状況になっているのだろうか。それには、大きく二つの要因がある。

 

医療業界においては、基本的な医療サービスや設備、薬剤、検査機器などは多くの医療機関で共通しており、医療技術の標準化やガイドラインの普及により、提供される医療の“ハード”面での差別化が困難になってきている。かつては最新の医療機器や大規模な施設など、ハード面での優位性が競争力となっていたが、医療の質が全体的に底上げされてきたことで、そうした要素だけでは他院との差別化が難しくなっているのが現状である。

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