前回からシン・マーケティングという観点で、サービス強化の重要性についてお伝えしてきた。

これは、成果において非常に重要な領域であり、診療サービスにおいては戦略的な側面を持っているため、単にホームページを強化したりWeb広告を強化したりするだけでは全く意味がない。端的に言えば、究極のマーケティングとは、行列のできるラーメン屋であり、プロモーションなどは必要ないのである。

 

 

一方で、当然ながら、良い診療サービスをすれば自然と患者が集まるという考え方に到達するには圧倒的な診療サービス力が必要であり、差別化が困難な今の時代においてそれは難しい。

 

 

このような中で、やはりプロモーションを意識した取り組みをしていかなければならない今、この診療サービスを強化した上で、どのようにプロモーションに落とし込んでいく必要があるのかについて理解が必要だ。

 

 

 

では本日の目次を示そう。

 

 

USP設計とブランディングテクニック

 

まず、改めて下の図をご覧いただきたい。この図は、自院の診療サービスの考え方を示したものである。自院の得意分野の中で患者ニーズを満たし、かつ競合が参入できない領域をUSPというが、このUSPを徹底的に突出させることが重要である。

 

 

例えば、下に挙げた歯科医院は、USPを徹底的に尖らせたベンチマーク医院である。このように、「〜といえばこの歯科医院だよね」と思い出してもらえるような認知を作ることが重要だ。

 

 

例えば、「審美治療においてはこの歯科医院だよね」と言ってもらえるような医院は、まさに審美治療のファーストコール(最初に呼ばれる)クリニックと言える。つまり、それぞれのUSPにおいてファーストコールクリニックを目指す取り組みが重要になるのだ。そのためには、下の図にあるように、自院の強み・競合の強み・患者の感度において適切な領域を見つけ、磨いていく必要がある。

 

 

そして、このUSPをバリューメッセージと呼び、USPを構成する要素をサービスコアという。例えば、審美治療とアフターフォローがUSPであれば、「いつまでも自然に笑える口元を」といったバリューメッセージとなり、セラミック治療における技術的な要素、定期的なメンテナンスや保証制度などのアフターフォローの要素がサービスコアになる。それらを一枚の「指針書」にまとめ、各プロモーションに落とし込むのだ。

 

 

当然、バリューメッセージについては、下の図にあるような、USPが伝わるわかりやすいメッセージとすることが非常に有効だ。

 

 

一方で、バリューメッセージの失敗事例としては、ブランディングにこだわるあまり、「笑顔をつくる」のような、他者から見て意味がよくわからない抽象的な表現を出しているケースだ。そもそもこのようなケースは、イメージ戦略やブランディングの考えに踊らされていることが多い。

 

 

正しい手法をサービス戦略とし、間違った手法をイメージ戦略と定義すれば、イメージ戦略は売り上げにコミットせずに、単に好かれるための印象作りである。よくあるブランディングの考え方は、ブランディング専門のコンサルティング会社から伝授されるケースが多く、売り上げを上げることなくプロジェクト参加者が気持ちよくなることを目的に推進される。このようなアプローチは「名前を付けた空箱」を作るようなものであり、本質的ではない。

 

 

話を戻そう。前述したサービスコア設計書であるが、これをプロモーション領域、いわゆるタッチポイントに配置することが下の図の流れとなる。その際には一貫性を意識することが求められる。

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