
前回からノウフルにてコラムを連載しております、三浦あかねと申します。第三回もどうぞよろしくお願いいたします。本コラムでは、スタッフ教育を中心に、医院経営に役立つさまざまなノウハウをお伝えしていきたいと思います。
では本日の目次をお示しいたします。
スタッフにクロージングトークを学ばせるには
今回はクロージングトークをスタッフに学ばせるためにはどうしたらいいのかについて見ていきたいと思います。まず、自費診療を強化する上で、クロージングトークを展開することが非常に重要ですが、単に医師がそれをすればいいというわけではありません。
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スタッフ全員がクロージングトークを行える体制をつくることが極めて重要になります。なぜなら、私たちの価値観や姿勢が、患者様の受け取るイメージを大きく左右するためです。特にスタッフは、保険外の商品メニューや自費診療の提案、また、患者様に費用負担をお願いすることに対して、どうしても罪悪感を抱きやすい傾向があります。
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その罪悪感という価値観が説明の言葉に表れ、「高い」という印象・イメージにつながってしまいます。例えば、「50万円もするのですが、自然な白い歯になります し、しっかり安定します」と、「も」を多用したり、金額の話になるとボソボソと自信なさげに話をしたりすることは、自費診療のイメージを私達自身が悪くしてしまっているに他なりません。
スタッフが自費診療の説明を避ける理由
なぜそのようにスタッフは、自費診療を避けるのでしょうか。それには三つの理由があります。
①業界の厳しさを理解していない
②キャッシュフローを学んでいない
③患者様のためという大義名分が強い
このような状況において、スタッフに対しては、当然ながら業界の厳しさを伝え、キャッシュフローを理解してもらい、患者様のための自費診療というマインドセットをすることが重要です。
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まず、一つ目の業界の厳しさについては、図1をご覧ください。医業利益の赤字割合は、ここ数年で約7〜9割に達しています。医療業界は厳しく、赤字経営が増加しているということをスタッフに理解してもらうことが、自費診療を増やす上では重要なのです。

次に、二つ目のキャッシュフローです。クリニックで働くということは、「自分の給料を自分で稼ぐ」という考え方が重要になります。保険診療の場合、患者様からは医院には、当日一部負担金(1〜3割)が支払われ、翌月のレセプト提出後、審査支払機関を経て、2〜3ヶ月後に残りが医療機関に支払われます。レセプトが間違っていると、その残りすら、支払われません。利益が出ていても、現金がなければ病院は回らない。

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一方で、自費診療はその日に現金がもらえるということで、保険とのキャッシュフローの違いをしっかり理解してもらうことが重要です。患者様が受診し、診療やその他自費サービス・自費商品購入を受けることで売り上げが発生し、その収入の一部がスタッフの給料になります。つまり 、患者数や件数=利益金額 ということを理解してもらうことが重要なのです。
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最後に、三つ目の「患者様のためという大義名分が強い」に関してですが、スタッフは医院より患者様のためという大義名分が強いのが一般的です。しかし、自費診療を勧める理由は、医院が儲かるからというわけではありません。患者様が高いお金を支払う分、自費診療によって幸せな生活を実現するのです。このことをスタッフ一人一人がしっかりと理解することが重要です。
あるバンジージャンプのスポットでは、非常に満足度が高いと有名になりました。その理由は、インストラクターが「積極的に背中を押すから」と言われています。そのバンジージャンプのスポットのインストラクターは、参加者が飛んだ方が幸せだと理解しているから、堂々と背中を押すのです。

クロージングとは、まさにこの「背中を押す」ということであり、スタッフ一人一人が自費診療によって患者様が幸せになるというマインドセットをすれば、このクロージングトークはさらに磨かれていくでしょう。
以上、今回はスタッフにクロージングトークを学ばせる三つのポイントについてお伝えしました。このような取り組みは今後さらに重要になっていきますので、是非とも体制づくりをしていただければと思います。
執筆者自己紹介 三浦あかね

【略歴】
看護師として公立病院にて脳外科、内科慢性期病棟勤務。接遇委員会立ち上げや接遇委員長を経て、下肢静脈瘤専門病院に師長として勤務。市民講座時には院長と共に講演。その後、健診センター立ち上げ責任者として勤務。
さらに、医療機関を遠隔でサポートする企業の看護部長として、医師の業務負担軽減のために、さまざまなサポートを提供。他、医療従事者向け研修の講師として活動しつつ、現在は、フリーランスで講師業と医院のコンサルティングサポートを行っている。
【資格】
看護師/アンガーマネジメントファシリテーター/医療経営士3級/エグゼクティブコーチ/医療メディエーター/日本マナープロトコール検定2級/医療接遇検定3級 /DSコーディネーター